○豊郷町認知症初期集中支援推進事業実施要綱
(平成28年3月31日訓令第7号)
(目的)
第1条
この要綱は、認知症になっても本人の意思が尊重され、長く住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を設置し、早期の診断または対応に向けた支援体制を構築することを目的とする。
(事業主体)
第2条
この事業の実施主体は、豊郷町(以下「町」という。)とする。
ただし、事業の全部または一部を適切な事業運営が確保できると認められる認知症疾患医療センター、病院または診療所等に委託することができる。
(事業概要)
第3条
この事業の実施は、次の各号に定める事項を全て満たすことにより実施するものとする。
(1)
実施体制
ア
支援チームの配置と役割
支援チームは、公益財団法人豊郷病院に配置し、認知症サポート医の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人(以下「訪問支援対象者」という。)および家族を訪問、観察・評価または家族支援等の初期の支援を包括的および集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。また、地域包括支援センター職員、保健師、かかりつけ医、認知症サポート医、認知症専門医または介護事業者との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保していくものとする。
イ
認知症初期集中支援チーム員の構成
認知症初期集中支援チーム員(以下「チーム員」という。)は、次に定める専門職2名以上および専門医1名の計3名以上の専門職にて編成する。
I
専門職は、保健師、看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士もしくは介護福祉士等の医療保健福祉に関する国家資格を有する者、認知症ケア実務3年以上または在宅ケア実務経験3年以上を有する者または国が別途定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識、技能を習得する者とする。
II
専門医は、日本老年精神学会もしくは日本認知症学会の定める専門医または認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師(認知症相談医として物忘れ外来をかかげ、認知症の診断や治療等の臨床経験を有し、国が認めた者を含む。)のいずれかに該当し、かつ、認知症サポート医である医師1名とする。
ただし、医師の確保が困難な場合には、当分の間、日本老年精神学会もしくは日本認知症学会の定める専門医または認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のある医師または認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有する医師(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)も認めるものとする。
ウ
チーム員の役割
専門職は、訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために訪問活動等を、地区担当の地域包括支援センターと連携して行う。また、専門医は、他のチーム員をバックアップし、認知症に関して専門的見識から指導・助言等を行うものとする。また、必要に応じてチーム員とともに訪問し相談に応じるものとする。なお、初回の観察・評価の訪問は、医療系専門職と介護系専門職各1名以上の計2名以上で訪問し、初回訪問の観察・評価票の記入は、医療系専門職が行うものとする。
エ
認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置等
医療・保健・福祉にかかわる関係者等から構成される「認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「検討委員会」という。)を設置し、検討委員会が関係機関・団体と一体的に事業を推進していくための合意が得られるようにしていくこととする。
支援チームと医療関係者との連携を図るため、認知症疾患医療センターや医師会との協議、主治医(かかりつけ医)に対する情報の共有化に向けたツールの作成やそれを用いた地域の連携システムの構築を図ることとする。
町は、認知症初期集中支援推進事業の評価を行うこととする。支援チームは、町で開催される評価検討会議等に参加協力するものとする。
(2)
訪問支援対象者
訪問支援対象者は、町に住民登録している40歳以上で、在宅で生活している認知症が疑われる人または認知症の人で、次のいずれかの基準に該当するものとする。
ア
医療サービス、介護サービスを受けていない者または中断している者で次のいずれかに該当する者とする。
I
認知症疾患の臨床診断を受けていない者
II
持続的な医療サービスを受けていない者
III
適切な介護サービスに結びついていない者
IV
介護サービスが中断している者
イ
医療サービス、介護サービスを受けているが、認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している者とする。
ただし、訪問支援対象者がこの条件に偏らないように留意することとする。
ウ
訪問支援対象者には、地区担当の地域包括支援センターと連携して支援を行うものとする。
(3)
事業の実施内容
ア
支援チームに関する普及啓発
地域住民や関係機関・団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行うこととする。
イ
認知症初期集中支援の実施
認知症初期集中支援の実施は、次のとおりとする。
I
訪問支援対象者を把握することとする。
II
情報収集および観察・評価 本人のほか、家族等の協力者の同席を調整し、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等の情報収集をすることとする。
III
初回訪問 初回訪問時に認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明および訪問支援対象者やその家族の心理的サポートや助言などを行う。
IV
専門医を含めたチーム員会議の開催 初回訪問後、訪問対象者ごとに観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するための会議を行うこととする。また、必要に応じて、支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、関係課職員等の参加も依頼することとする。
V
初期集中支援の実施 医療機関への受診が必要な場合の動機づけや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境の改善などの支援を行うこととする。
VI
引き継ぎ後のモニタリング 初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、地域包括支援センターの地区担当や介護支援専門員等と同行訪問を行う等の引き継ぎを実施。引き継ぎの6か月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこととする。
ウ
認知症初期集中支援チーム評価会議の設置
町は、医療・保健・福祉にかかわる関係者等から構成される「認知症初期集中支援チーム評価会議を設置し、 支援チームでの活動状況等を共有化するとともに、認知症初期集中支援推進事業について評価検討することとする。また、支援チームは、町で開催される評価会議に参加することとする。
(実績報告)
第4条
支援チームは、町が定める様式により、実績報告を行うものとする。
(個人情報の取り扱い)
第5条
チーム員は、本事業に関して収集した個人情報については、個人情報保護法の定めに従い、訪問支援対象者および対象者世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。また、その職を退いた後も、同様とする。
(委任)
第6条
この要綱に定めるものの他、必要な事項は、町長が別に定める。
附 則
この要綱は、平成28年4月1日から施行する。